The Long Interview〜vol,17〜
Interviewer & Texted By Yoshihiro Fukawa
〜冒頭〜
2025年6月某日 りゅうから電話が掛かってきた。
「来週 あじぶかに飲みに行く日 あの・・・ 出来たら・・
ロングインタビューやってくれない?」
勝気な彼にしては珍しく遠慮がちな頼み方だった
The Long
Interviewは2009年8月から2015年8月まで
TRI-toNeホームページ上で合計16回
不定期で連載していたインタビュー企画である。
2人でお酒を戴きながらりゅうの新曲やライブに対する思いや考えを聞く
収録した3-6時間分の素材をいったん全て文字起こしして
その中からインタビュー記事として使えそうな話題や本音、裏話を
Wordで記事として構成しりゅうに送信する
りゅうは私の送ったWordを元に
写真を添付したり、デザインを加えたりしてホームページにUPする
要は膨大な手間と時間が掛かるのである。
私が、15年勤めていた会社を退職し、個人で飲食店を始めるにあたって
インタビュー記事を執筆する時間がどうしても取れなくなるから
16回目を最終回とさせていただいた。
さて今回1回だけの復活を了承したのは何故か?
りゅうが本音でインタビューに答えてくれたので
私も今まで殆ど話して来なかった会社員時代の話を少しだけしよう。
連載当時の私の状況は日々、なぜ自分は毎日真面目に出勤しているんだろう
会社にとって私がいる意味はあるのだろうか?
という疑問にあえいでいた
何年間も毎日悩んでいた。
当時の上司との折り合いも悪く
毎日、部下達の見ている前で怒鳴られた。
そんな上司の下で仕事にミスやトラブルが起きる事が怖すぎて
毎日3〜6時間は会社に残ってデータを入力したり
資料を作成したり数式を確認したりしていた。
製造部からの急な応援要請で自分の仕事が何時間も中断することは日常茶飯事であったし
とっくに定時は過ぎていたのに片道2時間かかる取引先に行かされる事も頻繁にあった。
これらは当然のようにサービス残業と呼ばれる無償労働で
申請出来る残業の他に毎月30時間 多い月は100時間の未申請残業があった。
帰宅は当然、午前様。
翌朝9時に出勤するとまた上司に怒鳴られる
いつだったか廊下を歩くペースが遅いと怒鳴られた時は悔しすぎて立っていられなくなり
1人、物置部屋で何度も嗚咽した
自分が出勤する意味はあるのだろうか・・・?
そう考えるようになるのも無理からぬ事だろう。
そんな中、りゅうからのThe Long Interview執筆の依頼は
唯一自分のアイデンティティを確認できる事だった。
元々
「自分はせっかくバンドをやっているから
みんなの得意な事にスポットを当てられたらいいなと思ってる。
写真が得意な人にはカメラマンを任せて腕を披露してもらう
デザインが好きな人にはロゴやポップを任せてみんなに観てもらう
そういう場所になれたらいいなと
君は文章が上手だからインタビュー記事をお願いしたいな」
という事でインタビュアーという役を仰せつかった。
私の文章を好んでくれて、評価してくれていた彼は物凄い無茶ぶりで
「今回収録したインタビューは長い上に、話題が飛びまくっているけど上手いことヨロシク!」
と全任せしてくれた
これがどれだけ私の自尊心を守ってくれた事か
全任せは信用されているという事の証。
ようは私は彼に感謝しているのである
今回、10年ぶりに1回だけの復活を遂げた事の裏には
私の中の彼に少しでも恩返しできるなら
という思いがあるのだ。
TRI-toNeが初のベストアルバムを出す
それもCDではなくサブスクで
次ページからたっぷり語って行くので何回かに分けてお読み頂く事をお奨めする
読み終わるころには全8曲があなたにとって替えの効かないお気に入りになっている事を約束する。
→3ページ目へ ■TRI-TONE THE BEST【この形がさ。初のチャレンジじゃん。】